武者ぶるい

 

 恐らく大半の方は、ピアッツァに「武者ぶるい」と呼ばれたモデルが存在したのをご存知ないと思う。ピアッツァの新車にそんなグレードあったけ?。「武者ぶるい」とは、いすゞ中古自動車販売(以後、いすゞ中販)が1987年8月からドレスアップして販売していた中古車の名称であり、正式にはMscher Blueと表記される。ネーミングは、「イルムシャー」(射る武者?)にあやかったもので、アスカは「影武者」 (1987.6)、ジュミニは「若武者」 (1988.1)、及びビッグホーンは「荒武者」 (1988.7)というネーミングが与えられている。

 1988年から1991年ぐらいにかけて、自動車各メーカーは、特別仕様の中古車を売っていた。中古車をベースに、エンジン、足回り、外・内装に独自のドレスアップを施すというものだった。いすゞ中販が販売したピアッツァは、低年式車(1981年式から1983年式)がベースになっていた。

  

 上図右は、「Car Censor」誌の1988年秋頃に掲載された広告である。ドレスアップの内容を以下に示す。

 

外装

@ブラックメタリック Aグリーンメタリック Bグリーン、から選択

・195/60-14(ヨコハマインテック)+14インチフィンタイプアルミホイール

・角型4灯式  ハロゲンフォグランプ(55W)
・クロームメッキ製マフラーカッター  
・リアスポイラー装着 
・ドアミラー(マニュアルタイプ)

・文字、ストライプ、マークは「新・武者振」用に一新(ゴールド)  
・ラジエーターグリルを交換  
・グリルーマーク「ISUZU」文字に変更

・ドアバイザー純正品装着  
・ワイパーブレード交換

内装
ナルディ黒本革巻  クリーニング(全室含めて)アームレスト交換  フロアマット、リアパーセルトレイ、バッテリー (36B-20L)全て新品に交換
オプション
14インチ各種のアルミホイール、フロントスポイラー、新型リアエンドグリル、リモコンミラー

 

 上図左、「ホリデーオートBG」1989年10月号に武者シリーズの製作過程が掲載されている。まず、各ディーラーからいすゞ中販の大和工場へのベース車の搬入から完成までは、3日間程度である。

  • 全塗装のためにボディからパーツ類がすべて外され、ストリップダウンされる(傷や凹みは板金修理)
  • エンジンルーム内の補器類を外し、クリーニングと交換(?)
  • ドアやトランクのゴムパッキングも交換
  • 外したパーツも新品に交換(?)
  • 室内クリーニング、フロアマット等交換

 ユーザーの生の声が聞きたい、ということでアンテナショップとしてロフト調のショールーム「スペースU」が1988年4月にオープンし存在した。展示台数は12台と少なかったが、九州からわざわざ来る人もいたとか(「日経流通新聞」 1989.10.19)。

 販売開始してから約2年間に、シリーズ全体で約800台が販売された(「日経流通新聞」 1989.10.19)。「武者ぶるい」は、その中で最量販モデルとなった。1989年10月13日には20台限定の「凱」(Kachidoki)というモデルが文化放送主催第24回中古車ジャンボフェア用に20台用意された。車体はは昭和57〜59年式がベースで、IMPULSEボンネットフードで4灯、この年式のベース車はリヤガーニッシュが付いているが、「凱」はIrmscherリヤエンドパネルという事なので、リヤガーニッシュが付いていない。ボディカラーは、ブラックメタリック、ファントムグレー、グリーンメタリックの3色である。「ホリデーオートBG」の2000年11月号には何故か、「武者シリーズ」の特集が組まれた。そこに販売台数が掲載されていた。

 

                                 発売時期          販売台数
アスカ・カゲムシャー      Kagemscher         1987.6〜              60台
ピアッツァ・ムシャブルイ    Mscher Blue           1987.9〜10          70台
アスカ・カゲムシャーII      KagemscherII         1987.9〜10          30台
アスカ・ヤマトスペシャル    YAMATO SPECIAL 1987.11〜1988.4 130台
ジェミニ・ワカムシャー     Wakamscher        1988.2〜        百数十台?
アスカ・ニューカゲムシャー   NewKagemscher  1988.3〜               50台
ピアッツァ・ニュームシャブルイ New Mscher Blue   1988.3〜             50台
ビックホーン・アラムシャー   Aramscher         1988.8〜             50台
ジェミニyR                       yR Version        1989.4.10〜         50台
ピアッツァ・カチドキ      KATIDOKI                 1989.10.13〜      20台  *これは掲載されていない

 

 

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 個人的思い出としては、筆者は3度程「スペースU」を訪ねたことがある。一度目は1989年3月、二度目は1989年7月だったか。当時、筆者は、1985年式か、1986年式のXEを安く(50〜60万円ぐらい)購入して、それをスペースUに持ち込むことを画策していた。SPACE-Uの説明では、「武者ぶるい」の価格は、ベース車+20〜30万円だった、と記憶している。

 ところが、1990年6月頃だったか、「ホリデーオートBG」を見たところ、スペースUが扱っているクルマが突然、いすゞ車からオペル車(だったと思う)に替わったのである。それは、いすゞ中販の特別仕様車販売からの撤退であった。結局、筆者は「武者ぶるい」と関わることなく、値落ちし始めたhandling by LOTUSを1990年9月に買うことになるのである。

 現在、経年でやつれたピアッツァを見る度に(外観ではなくゴム類等)、思うに「武者ぶるい」のような作業をやってくれる所はないだろうか。外観が新品同様のピアッツァにたった20万でなるのなら、安くはないだろう。

 

 

 

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