このサイトでは、いすゞ自動車から1991年9月に発売された2代目ピアッツァ(以下JTピアッツァ)とスバルから発売されたスバル・アルシオーネSVX(以下SVX)を扱う。この両者には全く共通するものはない。まして、サイト作成者である私自身もこの両車を所有どころか乗ったことさえない。実は私は初代ピアッツァ(JRピアッツァ)を所有している。本来ならこの両車を扱う資格はないと思うのだが、何故かこの両車は私を惹きつけるのだ。

 JTピアッツァは、JRピアッツァの正統な後継車なのだが、これ程謎多いクルマもない。何せ資料がほとんどないのだ。いすゞ自動車のフラッグシップ(旗艦)の筈なのに、自動車愛好家やジャーナリズムはまだしも、作った当のいすゞ自動車さえまともな扱いをしていなかったように見えた。数少ない資料からJTピアッツァ再考を行いたいと思う。

 SVXは、同じイタリアの鬼才ジョルジェット・ジウジアーロとイタル・デザインによるデザイン以外は、JRピアッツァとは全く関係ない。大体、製作した自動車会社(いすゞ自動車とスバル)が違うし、開発のために交流が行われた事実もない。しかし、JTピアッツァを扱い出すと、何故か個人的にはSVXは避けて通れなくなる。同車がデビューして間もない頃、交差点で偶然見かけたSVXに大きな衝撃を受けた。

 

 SVXのボンネットからドアミラーあたりの処理にJRピアッツァと共通するものを感じたからだ。これは何人かの友人も感じたらしく、「JRピアッツァに良く似たクルマを見かけたが、後方から見ると違うクルマだった」、という証言を何人かから得ている。ただ、実はSVXには最初から興味があったわけでない。プロトタイプが初めて披露された1989年10月の東京モーターショーではほとんど興味を惹かれなかった。プロトタイプ(上写真右)はフロントのグリル部分が6連星だったが、改良を加えるうちに現行に落ち着いたらしい。グリルが現行通りにならなかったら、個人的に、SVXとJRピアッツァが似ていると感じたどうかは分からない。

   その後、SVXがJRピアッツァと同じジウジアーロのデザインから成ると知るのだが、私がSVXに惹きつけられたのは、ジウジアーロ・デザインということではなく、両車のコンセプトの共通点にある。

  「燃費が良くて走りに強く、かつ新鮮で飽きがこない美しいスタイル、静かで長旅にも疲れず、乗って楽しく、何処へでも誰でもが乗ってゆける車−そうした数々の矛盾するニーズに対し、この車はここに一つの回答が出すことが出来たと確信している」 (水沢譲治「いすゞピアッツァの発表にあたって」 いすゞ技報66 (1981))

 この文章を初めて読んだとき思い出したクルマが、スバルのアルシオーネSVXだった。これは、初代いすゞピアッツァ(JRピアッツァ)のデビュー時に、当時の開発本部長が書かれた文章である。実は、この文章は初めを省略している。「換言すれば80年代に求められる多くの要素」という文章である。いすゞ自動車は1980年代のクルマあるべき姿を求めた。一方、スバルは「1990年代のグランドツアラーとしての走り」を追求した。もちろん、作られた時代が省エネが求められた1980年代初頭と、バブル絶頂時に企画された両車の燃費面と豪華さの考えは異なるものの、以下の比較表をみていただくと如何に共通点があるかが分かるだろう。

 

 

  JRピアッツァ JTピアッツァ アルシオーネSVX
型式 前期JR120, 後期JR130 JT221 CX
カタログ

       
テーマ 走る性能はスポーツ・カーでありながら、スペース的に十分な空間を持つ、走ることが快適であるよう、トータルな性能を持つ 運転を楽しむためのスペシャルティクーペ 国際性のあるスポーティ・グランドツーリングカーの創造
開発コンセプト
  1. 高性能、高品質 
  2. スタイ ル、技術面の先進性
  3. 社会との調和、時代の要請
  4. 日常の生活における高い実用性
  5. 磨かれたセンスと洗練された味わい 
 
  1. 落ち着きのある本物感
  2. ゆとりのある走り
  1.  グランドツアラーにふさわしいダイナミックで洗練されたスタイリングの具現化
  2. ドライバーの意志に忠実に反応するスポーティなハンドリングとロングツアラーとしての優れた快適性の高次元融合
  3. 高度なアクティビティ&パッシブセイフティの実現
開発のポイント
  1. 持つ誇り、使うことに満足感、高品質でスタイルの良いロングライフなスペシャルティカー
  2. 一家4人が週末旅行が可能な実用性、居住性
  3. 先進技術と実用燃費が高い
  4. 海外市場への対応
  5. 新規設備投資を極力少なく
  6. 最短期間で開発
  大人の豊かなパーソナルライフを演出する、本格グランドツアラー
 ・ 走る歓び
 ・ 乗る満足
 ・ 持つ誇り
GTカーとしての考え
  1. 天候、路面に左右されない安全なハンドリング
  2. プログレッシブなハンドリング
  3. 究極のロードホールディング
  4. 正確で手応えのあるステアリングフィーリング
  5. 疲れの少ないフラットな乗り心地
  6. ファン・トゥ・ドライブ
    (注:1988年追加のhandling by LOTUSから)
 
  1. 粋なボディ
  2. 優れた居住性
  3. 長期旅行に十分な荷物スペース
  4. 天候に左右されない走破性
  5. 高性能エンジン
       
       
       
ライバル 初期:ソアラ、レパード
後期:プレリュード、セリカ
シルビアS13
(実際はプレッソ、NXクーペ)
ソアラ、レジェンド
新機構 フラッシュサーフェスボディ
マイコン制御DOHCエンジン
(特許・実用新案は70項目)
ニシボリック・サスペンション 水平対向六気筒4カムエンジン
4WDシステムVTD
ミッドフレームサイドウインドー
       
輸出 アメリカ (Impulse)、イギリス、オーストラリア、スイス、イタリア、スウェーデン等 アメリカ(Impulse)、カナダ(Asuna Sunfire)、ドイツ 米、英、豪、独、オランダ、ルクセンブルグ、スイス、フランス、ブラジル、タイ、イスラエル等
発表(販売開始) 1981年5月13日(6月6日) 1991年8月21日(9月7日) 1991年8月5日(9月18日)
生産中止 1990年2月 1993年3月 1996年11月
販売終了 1991年8月 1993年3月+ 1996年12月末
総生産台数(日本) 113,419台(39,448台) 9,613+ 台(1,181台) 米8,432台 カナダ不明 約24,000台(5,954台)
日本・月販目標台数(当初) 3千台 500台 600台
       
全長 4,385(最終型) 4,225 4,625(Version L)
全幅 1,655 1,695 1,770
全高 1,300 1,315 1,300
ホイールベース 2,400 2,450 2,610
最小半径   5.3メートル 5.4メートル
エンジン SOHC直列4気筒 DOHC直列4気筒 DOHC水平6気筒
総排気量 1,944CC 1,809CC 3,318CC
最高出力 150馬力 150馬力 240馬力
最大トルク 23.0キロ 17.5キロ 31.5キロ
車両重量 1,240キロ 1,140キロ 1,620
乗車定員 4人 4人 4人
タンク容量 58リットル 47リットル  
価格 242万8千円 234万3千円  
       

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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